『艋舺 MONGA』

豆導こと鈕承澤監督の映画『艋舺 MONGA』。
 
お気に入りの阮經天(小天)とMark趙又廷が主演し、鳳小岳、黃鐙輝、蔡昌憲、柯佳嬿、馬如龍、陳漢典、王識賢ら、魅力的なキャストが揃っていることに加え、台湾での公開後の反応も良かったことで、楽しみにしていたこの映画のDVDが6月末にリリース。
 
予約していたものが届いてはいたものの、なかなか見る時間がとれなくて、ようやく今日になりました。
 
 
twitterでもつぶやきましたが、この映画、もしも映画館で見ていたら、私はきっとしばらく席を立てなかっただろうと思います。
Macの前から、しばらく立ち上がる気になりませんでしたから。
 
 
 
<ストーリー>
転校してきたばかりの蚊子(Mark趙又廷)。
お弁当のおかずで大好物の鶏もも肉を狗仔孩(陳漢典)に取り上げられる。
が、それを奪い返したことで、狗仔孩の仲間に追われる蚊子。
彼らとやり合う蚊子の姿を見かけた太子幫の志龍(鳳小岳)、和尚(小天/阮經天)、白猴(蔡昌憲)、阿伯(黃鐙輝)の4人は、蚊子を気に入り、仲間に加えることに。
 
 
翌日、太子幫は狗仔孩の仲間を屋上に呼び出し、蚊子に報復させようとするが、蚊子は躊躇う。
和尚の「今日、やつらをやっておかないと、いつかお前がやつらにやられることになる」との一言で、生まれて初めて自分から誰かを殴りつける蚊子。
こうして蚊子は太子幫の一員となり、黑道に足を踏み入れることになる。
 
 
太子幫の一員となった蚊子の前にはこれまで知らなかった世界が広がっていくが、彼には理解できない部分も。
そんな中、小凝という妓女と出会う蚊子。
彼女は殺伐とした世界で生きる蚊子にとって、心安らぐ大切な存在になっていく。
 
 
そんな頃、外省人系の組織の幫主であり蚊子の母親の昔の恋人でもある灰狼(鈕承澤)が艋舺にその手を伸ばそうとし始めていた。
 
灰狼と艋舺の老大たちとの会談が持たれるものの、艋舺の組織、廟口のボスであり志龍の父親でもあるGeta(馬如龍)も後壁厝のボスであるMasaも灰狼の話には耳を貸さず、外省人系の組織とは手を組まないことを宣言。
だが、その決定を不満に思う後壁厝の文謙(王識賢)。
彼は灰狼と手を組み、自分が権力を握ろうとしていた。
 
そんな状況の中、後壁厝のボスMasaが何者かに撃たれ殺害される。
 
 
艋舺を巡る争いに太子幫も否応なく巻き込まれていく ─。
 
 
 
と、粗筋はこんな感じでしょうか。
 
前半、太子幫の5人の実に楽しげな様子が後半、一転するのが……。
 
アクションも多く、怪我人続出というのも納得。
しかも銃の撃ち合いじゃなく、拳や刀を使うことが多いので、肉弾戦(?)が苦手だと仰る方にはちょっと辛いところがあるかもしれません。
銃を使うのはろくでなしで、拳や刀でやり合うものだというあたり、まさしく仁侠の世界ですね。
 
また、艋舺という場所が雑然として、庶民的で、活気に溢れ、でも外の世界と少しばかり遊離した不思議な雰囲気の空間で、この場所だからこそ、この物語も成立したのかな、という気もします。
 
 
そして太子幫の5人はそれぞれが個性的で魅力的。
でも、やはり中心は小天扮する和尚とMarkが演じる蚊子。
 
和尚は非常に頭が切れ、太子幫の実質的な要。
そして、彼は子どもの頃から一緒に育った志龍のことが本当に好きなんですね。
彼のためなら、何でもできるんだろうな。
 
一方の蚊子はずっといじめられていたと言うものの、決して卑屈だったり弱気だったりするわけではなく、頭も良いし、人も良い。
日本で伝染病で亡くなったという父親を心の中で恋しがっていて、ボスのGetaに父親の姿を重ねているような。
 
和尚と蚊子、この2人の個性があの結末に繋がっていくのでしょうね……。
 
 
とにかく、豆導らしい作品で、豆導作品が好きな私にはとても印象深い映画でした。
 
 
 
と、ストーリーに触れずにはこれ以上感想は書けそうにないので、以下は完全にネタバレありの感想になります。
 
ですので、これから物語を楽しみに見ようと思われる方にはご覧いただかない方がいいかと…。 
この映画は日本にも版権が買われているようですし、未見の方はくれぐれもご注意くださいませ。

 
 
 

 
 
  

 
 
 
 

ということで、以下は完全にストーリーに触れつつの感想です。
 
 
 
見終わって一番印象的だったのは、和尚。
彼の悲しみや痛みに共感しつつも、彼は一体何をしたかったのだろう、と。
 
 
灰狼と手を組んだ文謙、その文謙と手を組んだ和尚……。
文謙にかつて助けられた恩があることを考えても、あの和尚が艋舺を守りたいという文謙の口車に簡単に乗るとは思えないのです。
でも、彼は文謙と組んで、誰よりも何よりも大切にしている志龍の父親であるGetaを自らの手で殺害することを選びます
 
かつてGetaが兄弟分だったはずの和尚の父親の腕を切り落としたということを知ったことも原因のひとつだったのでしょうか。
 
Getaの葬儀の日、泣き崩れる志龍を抱きしめながら号泣した和尚は、一体何を思っていたのでしょう。
 
 
一方の蚊子。
Getaに父親の影を求めていた彼は、自分の腕の中でGetaが亡くなったことで、何が何でも彼の敵を討とうと考えます。
 
そんな中、その犯人が和尚かもしれないことに気づく蚊子。
Getaが殺害された状況についての疑問を蚊子が口にしたことで、太子幫の白猴は1人、文謙の元に乗り込んで行き、返り討ちに遭い、生死の境を彷徨うことになります。
 
文謙や灰狼と一緒にいる和尚を見た蚊子は一体何を思ったのか……。
 
和尚は志龍や蚊子、阿伯をフィリピンにひとまず避難させようとしますが、蚊子はフィリピンまでの船が用意されているとは信じなかったんですね。
邪魔な自分たち3人を騙して、命を奪うつもりではないかと。
 
なので、船に乗る予定のその日、志龍と阿伯を前に、和尚にGetaの短刀を突きつけ、真実を語ることを迫るわけですが、和尚はやっぱり彼ら3人を守ろうとしていたのだと思います。
文謙はそう考えていたかもしれませんが…。
 
 
父親を殺したのが、自分が最も信頼する和尚だったことを知り、崩壊寸前の志龍。
その彼に「何もかもお前のためにやったことだ」と涙ながらに訴える和尚。
そしてその和尚を執拗に追う蚊子。
 
 
結局、和尚が蚊子を撃ち、蚊子は重傷を負います。
兄弟同士で命のやり取りをする、それも黑道だからだと言う和尚に、自分が飛び込んだのは黑道じゃない、友情であり義氣(義侠心、男気)だと言う蚊子。
 
苦しみながらも蚊子は和尚に向かって両手を広げ、彼を抱きしめようとするかのような仕草を見せます。
それを見て、耐えきれず、蚊子を抱きしめる和尚。
ところが、その瞬間、蚊子は自分の足に刺さっていた小さなナイフで彼を刺すんですね。
 
 
蚊子にGetaが自分の父親にした仕打ちを訴える和尚。
と、その彼に後ろから切りかかってきたのは志龍でした。
誰よりも大切にし、守ってきた志龍に何度も刺されながら、銃も刃も向けようとせず、されるがままの和尚。
そしてとうとう崩れ落ちる彼。 
 
志龍と阿伯は倒れている蚊子を抱えるように、その場を立ち去ります。
そこにはたった1人、和尚だけが残されてしまうのでした。
 
 
この後半部分の小天の表情がとてもいいんですよね。
だからこそ、和尚の痛みや苦しみが伝わってきたのだと思います。
そして共感できたからこそ、最後にただ1人、見捨てられてしまったような和尚の姿に胸が痛みました。
 
 
蚊子を演じたMarkも、やはりとても素晴らしい演技だったと思います。
 
 
そして、豆導自身が演じた灰狼。
実は彼こそが蚊子の実の父親でした。
蚊子が和尚と対決するために家を出たあと、それを知った灰狼は何とか蚊子を守ろうとしますが、間に合いませんでした。
 
 
太子幫のメンバーが、お互いの命を奪い合う中、彼らを愛する者たちは彼らの身を案じ、それぞれが時を過ごしていました。
豆導は最後の最後で、彼らを愛する人たちの姿を描くことで、何かを伝えようとしていたのだと思います。
 
 
艋舺や遺された人たちがこの先どうなるのか、描かれないままだったその後も気になりますが、でも、何よりも和尚という人物の姿がいつまでも心に残ります。
 

 
蚊子のヨーヨーなど、小さなエピソードで語りたいことはまだまだたくさんありますが、とりあえずこんな感じで。
 
 
本当に、何ともいえない余韻を残す映画でした。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中