『神話』46〜50話

ようやくここまで辿り着きました(^^ゞ。
 
語りたいことは山ほどあれど、それを完全な独り言ではなく、ある程度 他の方に伝わる形で表現するのがとにかく難しい。
つまりは、それだけこの作品に入り込んでしまっているということなのかもしれません。
 
 
粗筋を簡単に紹介していても、読んでくださる方にご理解いただけるものになっているのかは、我ながら甚だ心許ない限りです。
しかも、毎回、やたらと長いし……(汗)。
 
 
長いのは今回も同じです(^^ゞ。
最後の場面まで触れてしまっていますので、ネタバレNGの方は、以下はお読みいただきませんように。

 

 
 
 

秦が滅んだ後……。
   
 
一心不乱に北岩山洞の壁を掘り進める小川。
ようやく3年ぶりに玉漱と再会を果たすことができました。
 
 
これ以上ないくらい幸せそうな2人の様子をそっと見つめる呂雉。
「自分は全てを失ったのに、彼女は小川を手に入れた、どうしてこんなに不公平なの」、そう考える呂雉でした。
 
 
長い年月を経て、ようやく誰はばかることなく共に過ごすことができるようになった2人。
2人で楽しい毎日を過ごします。
そんな小川のところに呂雉が別れを告げにやって来ます。
かつて、小川の携帯の充電器を作るために金糸をほどいたあの衣装を身に着けて。
 
ですが、彼女と話していても、玉漱のことが気になる小川。
たとえほんの短い間でも、自分のことだけを考えて欲しい、自分の存在を無視しないで欲しい、と訴える呂雉ですが、小川から返ってきた答えは「一度もあなたのことに無関心だったことはない。ただ、あなたが求めるものを与えることはできない」というものでした。
 
幸せそうな2人を見つめる中で、怒りを噛みしめる呂雉。
「あなたを手に入れられない以上、あなたを他の誰にも渡すものですか」
 
 
小川と玉漱は呂雉と高要たちに捕えられてしまいます。
小川は麻薬を盛られ、身体を動かすことはおろか、声を出すこともできない状態に。
 
玉漱は、本来彼女のいるべきところに行くべきじゃないかという呂雉。
それを止めようにも、声ひとつ出すことのできない小川。
激しく抵抗する玉漱に、呂雉は、彼女が大人しく陵墓に戻らなければ、小川を殺すと脅かします。
実際には、呂雉には小川に手を出すことなどできないのですが、玉漱にはそれがわかりません。
小川の命を守るために、再び1人、陵墓に戻っていく玉漱。
その姿を絶望の中で見送るしかない小川。
 

 
洞窟の前で火を燃やしたため、その火に追われる中、玉漱は陵墓の奥へと足を進めます。
天宮に駆け込んだ彼女は、誤ってその扉を閉ざしてしまったのでした。
 
 
ようやく身体を動かすことができるようになった小川は、慌てて玉漱を追いますが、閉ざされてしまった天宮の扉が開くことはありませんでした。
それでもそれから3年間、そこにとどまり何とか天宮の扉を開けようと努力した小川ですが、とうとう現実を受け入れざるを得なくなります。
身も心もぼろぼろになった小川は、北岩山洞を後にし、すっかり荒れ果ててしまった蒙家に戻り、刀を手にします。
彼の望みはひとつだけ、呂雉への復讐でした。
 
 
その頃、各地で項羽への反乱が起こっており、劉邦も一時は項羽の本拠地、楚の彭城を攻め落とす勢いでしたが、項羽が急行したため敗走。
劉邦の家族は楚軍の手に落ち、彭城で軟禁状態に置かれていました。
 
何とか息子の劉盈だけでも劉邦のもとに送り届けようと必死の呂雉のところに現れたのは、復讐の念に燃え、彼女の命を奪うことだけを目的にした小川でした。
母親をかばう劉盈に、「誰だろうと邪魔するものは殺す」と言い放つ小川。
 
そんな小川の姿に呂雉は、もしも劉盈を劉邦のもとに無事に送り届けてくれるなら、今すぐ小川の目の前で自ら命を絶つと言います。
目の前で死のうとする彼女を葛藤しつつも助けようとはしない小川でした。
ですが、騒ぎに気づいた楚軍の兵がやってきて、呂雉は一命をとりとめました。
 
部隊を率いてそこにやって来たのはあの田伍長で、劉邦の家族は項羽のもとへ送られることになっていました。
劉盈を自分の弟子だと偽り、小川も彼らと同行して項羽のもとに向かいます。
 
ずっとその身を案じ、行方を探させていた小川が突然現れて大喜びの項羽。
再会を祝う3人ですが、項羽と小月の仲睦まじい様子に羨望を禁じ得ない小川でした。
一方の項羽も戦いの中で、信じられるものは小月だけという状況に疲れ果てていたのでした。
 
余興にと剣舞を披露する小月。
その様子を見つめながら、項羽は歌を詠みます。
 

力抜山兮 気蓋世
時不利兮 騅不逝
騅不逝兮 可奈何
虞兮虞兮 奈若何
 
力は山を抜き気は世を蓋う
時に利あらず騅ゆかず
騅のゆかざるをいかにすべき
虞や虞や 汝をいかにせん 

 
有名な垓下歌ですね。
“四面楚歌”の由来となった垓下での戦いで、敗北を覚悟した項羽が詠んだ歌とされています。
ちなみに、この後、虞姬は歌を返し、そして項羽の足手まといになってはいけないと自害したとも、項羽の手にかかって亡くなったとも言われています。

 
項羽の詠んだ歌が垓下歌だと気づいた小川。
劉邦の勝利がそう遠くないことを知り、何とか2人の命を助けたいと思う小川ですが、劉邦が天下を取るなどというのは項羽にしてみれば馬鹿馬鹿しくて信じることもできないお話でしかありません。
 
すっかり酔いつぶれた小川はその中で呂雉を殺すことができなかった自分を責めます。
その様子を見た劉盈は母親を守るために、小川に刃を向けますが、小川の腕を傷つけただけに終わりました。
もしも母親を傷つけたら、何があっても彼を許さないという劉盈の姿に復讐の愚かさに気づかされる小川。
 
将来、皇帝になる劉盈に小川は言います。
「常に世の中を思い、民を思っていてほしい。仁政を敷くんだ。
 民を思いやることを忘れず、民の気持ちに応じ秦の轍を踏まないこと。
 それが国を治めるもののあるべき姿だ。」
 
その小川の言葉を心に刻む劉盈でした。
 
 
小川は約束通り、劉盈を劉邦のもとに送り届け、劉邦に劉盈をすぐに太子にすべきだと進言し、劉邦もそれを受け入れ、劉盈は正式に劉邦の後継者となりました。
 
 
そして紀元前203年、項羽と劉邦の間で鴻構という川を境に西を漢(劉邦)、東を楚(項羽)の領土とすることで和睦が成ります。
 
項羽が故郷に向かう前日、小川は項羽のために別れの席を設けます。
そこでまた小川は項羽を死なせないために小月と2人で静かなところで暮らすつもりはないかと問いかけます。
ですが、命を惜しむなら秦に対抗して挙兵などしなかったという項羽。
誇り高い西楚霸王の姿に、何も言えない小川でした。
 
 
項羽に頼まれ、人質となっていた劉邦の家族を彼のもとに送り届けた小川。
史実でも、この後、劉邦は和睦を反故にし、後方から項羽を襲い、結果的に楚を滅ぼすことになるわけで、小川は劉邦が項羽との戦いを決意していることを知っています。
どうしても戦わなければならないのか、という小川に劉邦は、天下二分の状態では、互いに相手に対して軍事的に備えることになり、民は安心して暮らすことはできない、だからこそ天下を統一する必要があると答えます。
 
小川は、劉邦が天下をその手にし、項羽が彼の手に落ちた時には彼の命を救ってやってくれないかと頼みます。
対して劉邦はこう答えます。
「お前には項羽は誰かの手に落ちることを甘んじるような男に見えるか。」
「……、そうなったらもはや項羽じゃない」
「その通り。さすがだな、弟よ。
 あぁ、だがもし万が一、俺が項羽の手に落ちた時は俺のために尽力してくれよ」
そう言って立ち去る劉邦の後ろ姿に
「だからこそ劉邦。だからこそ、天下はあんたのものになるんだ」
とつぶやく小川でした。
 
 
結局、小川が何を望もうが、どれほど働き掛けようが、歴史はその歩みを止めることはなく、彼の力では何も変えることができないことを実感した小川は、北岩山洞に戻ります。
そこで、そこにいるのに近づくこともできない玉漱に語りかけます。
 
「玉漱、呂雉も高要も殺さなかったよ。
 たとえ彼らの命を奪っても、俺の心の痛みを
 軽くすることはできないってことに気づいたからね。
 ましてあなたを俺のもとに取り戻せるわけでもない。
 今この瞬間も、俺の心は強烈な痛みに苛まれているよ。
 でも、俺はこの苦痛を和らげる方法をひとつ見つけたんだ。
 俺にはできることがたくさんある。
 俺の助けを待っている人もたくさんいる。
 だからしばらくあなたのもとを離れようと思う。
 どのくらいかはわからない。
 でも約束する、たびたびあなたに会いに戻ってくるよ。」
 
こうして北岩山洞を後にした小川は、気ままにさすらうことになります。
 
 
そしてある日、川で釣りをしていた小川は漢兵に追われる項羽たちと再会することになります。
そこが烏江、つまり “烏江自刎” の舞台であることに気づいた小川。
項羽を死なせてなるものかと慌てて舟を岸に向けて漕ぎ出しますが、劉邦率いる漢軍は項羽ら一行のすぐ後ろに迫っていました。
 
漢軍の中にいる高要は、小月を死なせたくはないと、自分のところに来るようにと懸命に声をかけます。
その高要に小月は言葉を返します。
  
「老哥、咸陽で別れてから早3年。
 小月はもうあの時の小月ではなく、霸王の虞姬なのです。
 生きようと死のうと、小月は永遠に霸王の傍から離れたりは致しません」
 
 
 
 
それでもなお諦めきれず、「こちらに来るんだ!」と悲痛な叫びを上げ続ける高要。
圧倒的に不利な状況の中、果敢に戦いを繰り広げる項羽たち。
そんな中、漢の兵が放った矢が小月の胸を貫き、彼女は項羽の腕の中で息を引き取りました。
 

 
 
ようやく舟を着け、駆けつけた小川でしたが、間に合いませんでした。
その小川に絞り出すように言う項羽。

「わたしは彼女を大切にしてやることができなかった。
 ……
 彼女を連れて行ってくれ。
 私の愛する女性を敵の手に渡したくはない。」
「大哥、江東に帰ろう。江東には俺たちの足場がある」
「江東から8000人の仲間を率いてきて、誰一人生きて返すことができなかった。
 そんなわたしに江東の親たちに会わせる顔があると思うか。」
「俺は今日、家族を1人失った。もう1人まで失いたくない。
 江東に帰らなくてもいい、どこか他へ行くことだってできる」
「今のわたしが行きたいところ、それは彼女のいるところだ。
 わたしは西楚の霸王。戦場で名誉ある死を遂げるまでだ。
 軽々しく逃げ出すことなど、できるものか。」
 

 
 
小川の舟に小月を横たえ、小川に目をやった項羽は、何も語らず、舟を川に押し出し、戦いに戻っていきました。
 
 
 
死を決意している項羽は、鬼神のごとく敵を倒し続け、漢軍の兵はその項羽に怖れをなして近づくことも躊躇われるほどでした。
それでも、多勢に無勢、重傷を負った項羽は、小川と小月の乗る舟に少しでも近付こうとするように、よろよろと川岸に近付き、「小月、わたしも行くぞ」とつぶやき、壮絶な最期を遂げました。
 
 
項羽の死後、劉邦が天下統一を果たし、新たな漢の時代が始まります。
小川は小月にあの花嫁衣装を着せ、丁重に葬りました。
 
漢では、歴史の編纂が始まりますが、劉邦の命により、蒙毅は文官とされ、趙高によって命を奪われたということにされました。
立ち去り際、「そうだ、あの易小川、易小川……」とだけつぶやいた劉邦の意を酌み、“易小川” の名は史書から消されることになりました。
 
 
そして46年後、漢の文帝(5代皇帝。劉邦の息子)が崩御します。
これはちょうど、彼らが秦に飛ばされ、帰る方法を知るために隠士高人のもとを訪れてから60年後のことでした。
60年後に来るように言われたその言葉を勿論覚えていた小川と高要は、隠士高人のもとにやって来ます。
 
60年前に彼らを歓待してくれた少年もすっかり老い、隠士高人も既に亡くなっていました。
ですが、2人に全てのきっかけになったあの寶盒を残してくれていました。
ようやく手にすることができた寶盒。
寶盒を開けることはできましたが、そこには彼らを現代に戻すための特別な仕掛けなどはありませんでした。
彼らは、自分たちが現代に戻るためには、ただ1日1日を生きていくしかないことを悟ります。
そして2000年生き抜けば、自然に現代に戻ることができる、そういうわけです。
 
 
小川はその寶盒の中に自らの手で両親に渡したいと考えていた手紙と地図を入れます。
高要は自分を秦に連れてきた小川に恨みの言葉を残して去ります。
また閉じられた寶盒は小川の手に託され、虎の首飾りは高人の弟子の手であるべきところに置かれることになりました。
また、彼は自分の5人の弟子に彼の師である隠士高人がかつて北岩山洞で修業していた時に用意した彼らの身分の証を持たせ、それぞれが高人から与えられた言葉とともにその証を大切に子孫に伝えるように言い聞かせます。
 
一方、寶盒を託された小川は、小月を埋葬した近くに寶盒、そして蒙恬から贈られた甲冑を埋めました。
 
 
 
そして現代。
 
寶盒を開けるために、必死に駆け回る大川、高嵐、そして大川&小川の両親。
黒衣人たちに邪魔される中、5人の弟子に伝えられた言葉から、少しずつ寶盒の秘密に迫っていきます。
 
そしていよいよ寶盒が開く日がやって来ました。
寶盒の中からは小川が残した手紙と地図が出てきます。
手紙を読んでも、その内容をにわかには信じられない大川たち。
一緒に入れられていた地図は、始皇帝の陵墓につながる抜け道を示すものでした。
 
 
5人の弟子たちの後裔たちが伝えてきた中に、5人の血によって天宮への道が開かれる、という内容がありました。
彼らはその先祖の言葉通りにやってみることにします。
すると、寶盒は突然砕け散ってしまいました。
そこへ黒衣人たちがやってきて、大川&小川の両親と大川、そして高嵐を連れ去ります。
 
 
その場に遅れてやってきた1人の男。
彼は粉々になった寶盒からひとつのかけらを拾い上げ、それを手に北岩山洞にやって来ます。
2000年を生き抜いた小川でした。
 
小川は寶盒を作ったのは天宮の設計者である北岩山人だと確信しており、だからこそ、寶盒には天宮の門を開くための秘密が隠されていると考えていました。
その考えに従って、手にした かけらを洞窟の壁にはめ込んでみる小川。
そしてついに天宮の扉が開きました。
 
 
2000年もの長い時を待ち続けて、ようやく玉漱と再会できた小川。
 

 
 
彼らが再会の喜びに浸っている時に、大川や高嵐らを連れた黒衣人らが天宮に現れます。
 
天宮に驚く大川ら。
ここで大川たちはようやく探し求めていた小川と再会することができました。
玉漱を紹介され、彼らが本当に2000年を生き続けてきたことを知らされます。
小川は、大川の網友 “千年老妖” が自分であったこと、両親のことを心配してずっと傍にいたことを彼らに伝えます。
 
何が起こるのか全てわかっていながらも、それを止めることができない、その苦悩を口にする小川。
それはすべて歴史の必然だから、と。
2000年の間、小川はそれを自らの経験で嫌というほど感じてきていました。
 
  
ですが、高嵐は納得しません。
「どれほど心配したのか、わかっているの?」と詰め寄る高嵐の言葉に黒衣人が「それは俺がいたからだ」と口を挟みます。
 
ずっと顔を隠していたその黒衣を脱ぎ捨てると、それは高要でした。
高要は自らも2000年を生きてきたのだと語ります。
その2000年の間、小川と高要はずっと敵対し続けてきたのでした。
 
心配し続けていた兄に会えて喜ぶ高嵐。
 
なぜ2000年もの間、年も取らずに生き続けることができたのか、訊ねる両親に小川は不老長寿の霊薬のこと、天宮に設置されている天星のこと、その天星によって支えられている天宮の仕組みについて簡単に説明します。
 
 
高要はこの2000年、自らがどれほど辛い思いをしながら生きてきたかを訴えます。
高嵐はそんな高要の心を和らげようとしますが、高要の復讐心はおさまりません。
天宮を開き、そこに小川をおびき寄せ、全ての決着をつけること、それが彼の目的でした。 
彼は自分をこんなふうにしたことで、全ての人間を憎み恨んでいたのでした。
自分がいる、もう一度やり直そうと言う高嵐ですが、その言葉さえも今の彼には届きません。
 
彼には何よりも大切な妹・高嵐が一日一日と老いていき、いつかはその人生を終えること自体が耐えられないことでした。 
小川は玉漱と再会、互いに不老長寿の身である彼らがこの先ずっと、2人で永遠に幸せに生きていくことが許せない高要。
小川の目の前で彼の家族全員の命を奪おうとした高要ですが、それは失敗に終わります。
 
 
小川に襲いかかる高要の部下たち。
手を貸そうとする大川に、両親を連れてすぐにここを離れるように言う小川。
 
大川たちの前に立ちはだかる高要でしたが、高嵐の頼みで彼らを黙って行かせるのでした。
彼らに手を出さないでと懸命に訴える高嵐を薬で眠らせる高要。
何と言われても、小川を許す気などない高要でした。
 
両親を外に連れだし、戻ってきた大川は眠っている高嵐の姿を目にし、高要に食ってかかります。
「眠っているだけだ。さっさと連れて行け」と大川に言う高要。
彼女を連れて去ろうとする大川に
「俺の妹を大切にしろ。よく覚えておけ、今後何があっても彼女を傷つけるな。
 さもなければ死んでもお前を許さないぞ」
と高要は警告します。
 
 
始皇帝のかつての言葉から、天星を動かせば全てが灰燼に帰すだろうことを予測した高要は、天宮の門に埋め込まれていた小さな天星を外してしまいます。
彼は自分自身と共に小川と玉漱も葬り去るつもりでした。
天星を叩きつける高要。
その天星が砕け散るのと同時に天宮は大きく揺らぎ、天宮の中央に設置されていた天星もその力を失っていきます。
それと同時に天星の粉末によって作られていた不老長寿の霊薬の効果も失われ、小川たち3人は急に年を取り始めます。
 
 
それでも2人でいられるなら構わないと思う小川と玉漱。
天宮は今にも崩れ落ちそうになっており、2人は急いでこの場を離れようとします。
その中で、高要が引き取り育てた部下である羅拉も彼をかばって命を落とします。 
彼女はずっと高要を愛していました。
彼女まで失ったことで、一層小川への恨みを募らせる高要。
天宮から逃げ出そうとする2人を追い、天星による浮力を失い天宮の全てが落下していく中、自らと共に玉漱も引きずり込もうとします。
必死に彼女の手を掴み引き上げようとする小川。
結局、高要はただ1人、砕けた天宮と共に落ちていきました。
 
これで全ては終わり、両親、大川、そして玉漱と一緒に暮らせると思う小川。
玉漱に語りかけますが、彼女から返事はありません。
高要に引きずり込まれようとした時、身体を石に酷く打ち付けた彼女は、小川の傍らで既に息を引き取っていました。
その玉漱を抱きしめ、悲嘆に暮れる小川。
 

 
  

その後、場面は映画『神話』を見る大川と高嵐に。
天宮で別れて以来、小川は彼らと連絡はとっているものの、姿は現していませんでした。
 
2人が映画館から外に出た時、ちょうど映画の看板が倒れ、それを2人が起こそうとすると「私が」と男が現れたので、彼らはそのまま映画館を後にしました。
 
その男は小川でした。
看板を起こした小川は、映画のヒロインに「あなたは彼女ほど美しくない」と囁きどこへともなく歩き去りました。
 

〜全劇終〜

 
 
 
 
ということで、長い長い物語は終わりになります。
 
 
小川の立場になれば、2000年待ち続けたにも関わらず、再会を果たしたと思ったら、彼女に死なれてしまうというやりきれない結末に。
こうなると、不老不死でなくなったことが彼にとっても救いでしたね。
 
 
やりきれないだろうのは、玉漱も同じこと。
2000年もの長い間、独りぼっちの天宮で小川だけを待ち続け、やっと何も気にせず、彼と自由に暮らせるはずだったのに。
でも、天宮の扉を閉ざしたのは、玉漱自身だったんですけど(^^ゞ。
火が迫ってくるからといって、もう少し落ち着いて逃げればいいのに。
 
 
その原因を作ったのは呂雉なわけですが、どうも彼女のことは嫌いにはなり切れなくて。
小川が彼女の気持ちを持て余すのはわかるのですが、もう少し、何とかできなかったのかと……。
憎まれてもいいから、小川に自分を見て欲しかったという、その気持ちがとても哀れでした。
 
彼女を嫌いになり切れなかったこともあってか、子どもの目の前で呂雉の命を奪おうとしたり、目の前で彼女が死のうとしていても、葛藤しつつも最後まで彼女を救おうとしなかった小川の姿がとても悲しかったです。
あれほど “命” を大切にしていたはずなのに。
 
 
それから高要。
彼のことも最後まで嫌いにはなれなかったです。
ただとても可哀想で……。
小川を憎む気持ちもわかるんですよね。
結局、玉漱を道連れにできて、彼は納得できたのでしょうか……。
高嵐、そして小月という2人の妹に向ける彼の愛情は疑いようのないものだったのに。
 
 
ですが、正直なところ、私にとってこのドラマのクライマックスは48話の“霸王別姬”&“烏江自刎” でして(^^ゞ。
 
見ていた時に、twitterでもつぶやいた記憶がありますが、しっかり泣かせていただきました。
項羽の持つ迫力と小月に向ける真摯な思いが彼らの最期のシーンに集約されている気がしました。
 
小月が、自分は霸王の虞姬だから、彼の傍を離れないと高要に言っている時、傍でそれを聞いている項羽の表情がとても良いんですよね。
誇らしげというのでしょうか……。
小月のことが誇らしかったのもでしょうが、彼女にそこまで愛されていることが誇らしかったのかな、なんて。
 
 
ずっとひたすら強かった項羽が小月の死には “慟哭” という言葉が相応しいほどに悲しみをあらわにしたのも感動でした。
叔父の項梁が亡くなった時、声を上げて泣けばいいと小月に言われても、それは敵を喜ばせるだけだと泣かなかった項羽だったからこそ、あの悲しみようが一層胸に迫ったような気がします。
 
また、彼女を小川の舟に乗せる時の優しい仕草も、その後、敵に向かっていく時の鬼神のような迫力も、とにかくこの場面での譚凱の演技は素晴らしいの一言に尽きました。
 
ドラマの中で、一番幸せになって欲しかったのがこの項羽と小月だったのですが、小川と同じように歴史を知る者としては、それがあり得ない結末であるのもわかっていたことで、このあたりの小川の気持ちが手に取るようにわかる気がしました。
 
 
項羽が舟に乗らないこと、江東に戻らないことは小川にもわかっていたはず。
それでも、そう口にしないではいられなかった小川が可哀想で……。
 
私の中の項羽像にとても大きな影響を与えている気がする漢詩に李清照の「絶句 烏江」というのがあります。

生當作人傑,
死亦爲鬼雄。
至今思項羽,
不肯過江東。
 
 
生きて当に人傑と作り、
死して亦、鬼雄と為るべし。
至今、項羽を思う、
江東過るを肯せんせざるを。

 
読んでもすぐに忘れるのですが(^^ゞ、垓下歌とこの詩は項羽のイメージと相まって、なぜか記憶に残っていました。
舟に乗らない項羽だからこそ、魅力を感じるんだろうと思います。
 
劉邦なら、自分1人だけでも助かろうとしたはずですから。
実際、劉邦って、自分が逃げるために子どもを捨ててますよね、何度も。
 
 
項羽がどう描かれるのか、気になっていましたが、このドラマでは項羽が非常に魅力的だったのが、何より嬉しかったです。
脚本家さんも項羽ファン? なんて思ったくらいで(笑)。
 
 
項羽、蒙恬、李由の3人に食われた感も無きにしもあらずだった小川ですが、でも「玉漱、玉漱」と言っていない時の小川は非常に凛々しく魅力的で、勿論、彼にも魅かれていました。
とにかく2000年も待ち続けたのだから、幸せな結末を用意してあげたかったですね。
 
 
でも、本当に骨太の見応えのあるドラマでした。
胡歌が出演していなければ、見る気になったかどうかわかりませんので、胡歌には感謝感謝です。
 
 
 
ただ、いくつもの謎が残されたまま。
また、キャストについてや、全体を通しての感想など、まだ語りたいこともあったりするので、そのあたりはまた別のエントリーで……。
 
 
長々とお読みいただいて、ありがとうございました。

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