『神話』41〜45話

蒙毅が倒れ、圖安の金将軍が捕えらたところで終わった40話。
40話を過ぎると、展開が一気に早まり、さまざまな出来事が次々と起こります。
 
これまで同様、10話分をまとめて1つのエントリーにするつもりだったのですが、最終話を残して、文字数が15,000字近くになってしまったので、5話ずつ2つのエントリーに分けることにしました(^^ゞ。
これは展開が早まったせいか、それとも私のまとめ方が悪いのか……、きっと両方でしょうね(..;)。
 
 
これまでのところでは、全く触れることができていませんが、秦の時代と平行して描かれている現代のパートでは、小川の兄・大川と高要の妹であり小川の恋人でもある・高嵐、そして大川&小川の両親の4人が残された寶盒を開けるための情報を求めて奔走しています。
大川に協力する大川の網友・千年老妖、それから彼らの邪魔をする黒衣人の一派の動きも、後半になるにつれて活発になっていきます。
寶盒が開くと何が起こるのか、それもこのドラマの重要なポイントですね。
 
 
以下、半分に分けたとはいえ、それでも充分に長いです(^^ゞ。
いつものことですが、ネタバレNGの方はご覧いただきませんように。
 
 
 

 

 

 

 
 

 
自らの行動により祖国・圖安が攻められることになったことを知った金将軍は自分を陥れた趙高を呪いつつ、自らの命を絶ちます。
死の間際に彼は取り調べに当たった李由に小川が生きていることを伝え、秦を呪いつつ亡くなりました。
 
半信半疑の李由が金将軍に言われた場所に行ってみると、そこには確かに小川の姿が。
矢で射られた後、僅かに息が合った小川にとどめを刺すことができなかった金将軍が彼を助け、圖安に伝わる高麗人参を使った特殊な薬草風呂により延命が図られていました。
ですが、小川は眠ったままで、全く意識が戻る気配はありません。
彼に刺激を与えることができれば、意識が戻るかもしれない、と言われる李由。
 
 
李斯が息子・李由と小月の縁談を持ってきます。
小月も、趙高の言葉を受け入れますが、盛大な婚礼の当日、李由のもとに現れたのは別人でした。
小月は蒙家に現れ、蒙毅とあの世で添い遂げるために、その場で花嫁衣装のまま命を絶とうとします。
そこに駆けつける李由。
小月が自らの胸を貫こうとした刀を素手で握りしめ、彼女を救います。
血まみれになったその手に布を巻き付けながら、自分のことは忘れて欲しいという小月。
その小月の姿に彼は蒙毅が生きていることを口にせざるを得ませんでした。
 
小川を救うために、彼女は趙高から婚礼の日に贈られていたこの世にたった1つとなった不老長寿の霊薬を彼に飲ませます。
それでも尚、小川の意識は戻りません。
小月は花嫁衣装のまま、彼のそばで面倒を見続けます。
 
 
一方、趙高は、行方のわからない小月を懸命に探していました。
一向に見つからない小月は舉賢堂の手に落ちた可能性もあると考えた趙高は、ここで邪魔でならない彼らを一掃しようと考え、二世皇帝に働きかけ舉賢堂に関わった者たちを捕えるための詔書を出します。
 
それを見た項梁。
目に余る趙高の行動に、とうとう項羽と項梁は扶蘇の敵を討ち、秦を倒すために起ち上がることを決意します。
趙高一派の圧制に不満を強めていた江東の多くの民も彼らに共鳴し、起ち上がります。
 
 
そんな頃、ようやく意識を取り戻した小川。
彼は玉漱を殉死させるわけにはいかない、救わなければ、と弱った身体で立ち上がります。
小月から既にあの日から数ヶ月が経ったと知らされ、「玉漱は、玉漱はどうなったんだ」と必死にそればかり問いかける小川。
手を貸してくれと真剣に自分に頼む小川の姿に、小月は頷くしかありませんでした。
 
 
始皇帝の皇妃たちが陵墓に入る日、小月が玉漱のところに駆けつけ、小川が生きていること、彼が不老長寿の霊薬を飲んだことを彼女に伝えます。
玉漱は自分もその霊薬を飲んだことを小月に話し、小川に「陵墓の中でずっとずっと待っている」と伝えてくれるよう彼女に頼み、陵墓に向かいました。
 
 
玉漱が陵墓に入ったことを聞かされた小川は生きる希望を失い、水も食べ物も一切とらず、ただ死ぬことだけを願いますが、霊薬のためか、7日が過ぎてもその願いが叶う気配もありません。
小月は、玉漱も霊薬を飲んだことと、「待っている」という言葉を小川に告げていませんでした。
ですが、生きる気力を完全に失ってしまっている小川の姿に、とうとうその言葉を彼に伝えます。
 
7日間も黙っていた彼女を身勝手だと責める小川。
対して、「身勝手なのは自分自身だと思わないの?」とこれまで抑えてきた感情をぶつける小月。
 
 
その頃、陳勝・呉広の乱など、各地で次々に秦への反乱が起こっていました。
秦の滅亡がそう遠くないことを知った小川は、自らも反乱軍を率い、咸陽に攻め入れば、もう少しのところまで来ている陵墓からの抜け道を完成させ、玉漱を救い出すことができると考えます。
 
咸陽を急ぎ出ようとする小川。
しかし、反乱軍を警戒して、厳重な警備体制がとられている咸陽からは出ることさえも困難な状態でした。
そんな時、彼はずっと以前に、“窮地に陥った時に開けてみるように” という言葉と共に、老崔から貰った袋を思い出します。
小川がその袋を開けてみると、中にはかつて彼が宮中から盗み出した夜明珠と令牌(通行手形みたいなものでしょうか)、そして老崔からの手紙が入っていました。
その手紙には、夜明珠があれば、お金には困らないだろうこと、かつて麗妃の病を治した褒美として始皇帝に願って与えられた足の速い馬2頭を咸陽の東の宿場に預けていること、その馬と令牌があれば危機から抜け出せるだろうとありました。
 
なぜ用意された馬が2頭なのかを訝しがる小川。
蒙家を後にしようとした時、小川は花嫁衣装を燃やそうとしている小月を見つけます。
自分がどれほど頑張っても決して小川の心を手に入れることはできない、そのことをようやく悟った彼女は、愛する人のためだけに身に付けると決めていた花嫁衣装はもう必要ないのだと小川に言います。
その小月に対し、彼女が本当に愛する人に出会った時のために、この花嫁衣装は自分が大切に預かっておくと言う小川。
 
その小月に咸陽を去ることを告げ、彼女には趙高の元に戻るように言うのですが、彼女はもう戻れないと答えます。
趙高を傷つけたこと、そして自分が趙高の元に戻れば、周囲が李由をどんな目で見るかを考えると、とてもそんなことはできない、と。
彼女は小川とともに咸陽を去ることを決めます。
 
 
小川が意識を取り戻したことを知った李由。
2人が咸陽を去ろうとしてることを知ります。
 
厳重な警護の中、何とか咸陽を出ることに成功した2人。
小川は会稽の項梁と項羽のもとに向かいますが、途中で2人を李由が待ち構えていました。
 
 
小川がその気になれば、秦にとって非常に大きな脅威になり得ることを誰よりもわかっている李由。
なぜ秦に背くのかと小川に迫る李由に対し、小川は、始皇帝が死の前に扶蘇を皇太子に任じていたこと、それを趙高が握りつぶし、胡亥が皇帝の位を簒奪したことを話します。
にわかには信じられない李由でしたが、彼自身も胡亥が二世皇帝となったことには、疑いの気持ちを持っていました。
 
しかし、それでも胡亥が二世皇帝となった以上、彼に従うべきだという李由。
小川は「あの男が皇位を簒奪したとわかっていても、それでも彼に忠誠を尽くすのか」と問いかけます。
 
 
自分も、そして小川も、どちらも心を変えることはあり得ないことを痛感した李由は、小月だけは残すように小川に言います。
 
一晩、小月と飲み明かす李由。
彼は酔いつぶれた小月を前に、眠らないまま朝を迎えます。
 

「この夜に限って、なぜこれほど時が早く過ぎてしまうのだろう。
 わたしにどうしてあなたを見飽きることがあろう。
 あなたのこれほどまでに美しい様子を見ていると
 どうしてあなたを諦め、行かせることができようか。
 わたしにはそんなことはとても認められない」
 
目を覚まして「お酒をちょうだい」という小月に李由はお酒では憂さは晴らせないと諭します。
自分がもう既に試してみて、無駄だったからと。
「酔っている時は、悩みも消え、心配事もどこかに行ってしまう。
 酔いが醒めれば、ただ一層やりきれなくなるだけだ」
 
結局、李由は自分の気持ちを押し殺し、小月を小川に託し、2人を見送った上で、小月に託された趙高への手紙を趙高に届けました。
 

会稽に到着した2人は項羽たちと合流。
死んだと思っていた小川と、ずっと思い続けていた小月が現れて大喜びの項羽。
 
項羽は小月に、ことあるごとに彼女に宛ててしたためた手紙を渡します。
少しずつそんな項羽に心を開く小月。

 
咸陽を落とすことを焦る小川。
秦軍の力は強大でも力を合わせれば対抗できるはず、という項羽に、小川は自分はすぐに沛県に行って人を集めると言います。
この時点で沛県では誰も蜂起してはいませんでした。
沛県の志ある者に連絡をとって蜂起するという小川。
舉賢堂の仲間と劉邦がいるから、と。
ろくに兵法も知らない庶民出身の劉邦には全く期待していない項羽たちですが、小川の強い意志に2人はそれを認めます。
 
 
小月を項羽に託し、沛県に向かう小川。
沛県に到着し、呂家を訪れた小川は、そこで呂雉と息子・劉盈(後の恵帝)に会い、劉邦が相変わらず趙高を怖れて山で暮らしていることを知ります。
 
その劉邦のもとを訪れ、決起を促す小川ですが、失敗すれば一族皆殺しにされてしまうことを怖れた劉邦はそれを断りました。
そうと知った呂雉が劉盈を連れ、劉邦のもとにやって来ます。
劉盈と自分が足手まといなら自分たちは死ぬと、自分たちの命をたてに決起を迫る呂雉に、仕方なく決起を決める劉邦でした。
小川が全てのお膳立てをした後、ようやく現れた劉邦は会稽に向かう小川の後を受け、沛県の領袖となるのでした。
 
しかし、劉邦は小川が去った後に攻めてきた秦軍の前にさっさと逃走、会稽の項羽のもとにやって来ます。
劉邦と違い、連戦連勝の項羽。
劉邦は楚の民が彼を「霸王」と呼んでいると項羽を持ち上げます。
すっかり気を良くした項羽。
3人で力を合わせて咸陽を落とそうという小川。
小川にしてみれば、少しでも早く咸陽が陥落すれば、それだけ早く玉漱と再会できるわけですから。
 
そして項羽は、咸陽を一番先に落としたものが関中王になることにしよう、と言い出します。
兵力が足りないから、最初から勝負にならないという劉邦に、項羽は3000人の兵を与え、3人が同じ日に挙兵し、誰が最も早く咸陽を落とすか競うことになりました。
 

しかし劉邦は一向に動こうとしません。
項羽と小川の2人を、李由及び章邯が率いる秦の主力と戦わせ、その隙に自分は漁夫の利を狙っていたのでした。
 
章邯との激戦の中で、項羽の叔父・項梁が戦死し、項羽は深く傷つき、復讐を誓います。
その傍らで、彼を支えているのは小月でした。
 

一方の小川は李由と戦い、彼を破ります。
投降しなくてもいい、李由をこっそり逃がすという小川に、李由は言います。
「李由は大秦の人として生まれ、死んで大秦の霊となります。
 今、大秦が滅びようとしているのに、わたし1人が生き延びて、
 それがいったい何になりましょう」
 
命を大切にしろと怒る小川に、1つだけ頼みがあると言う李由。
「彼女を頼みます」
そう言いつつ、あの婚礼の夜、小月の自殺を止めた時に傷ついた自分の手に彼女が巻いてくれた布を託す李由。
小川と別れの杯を交わした李由は部下の兵に武器を捨て、去るようにと最後の命令を下し、李家の旗を手に自らの命を絶ったのでした。
 


 
 
 
 
何も語らず、ただ小月に李由に託された布を手渡す小川。
自分の命を救い、最愛の人・項羽と出会う機会をくれた李由に感謝しつつ、彼の冥福を祈る小月でした。
 
 
小川や項羽が秦の主力と激戦を繰り広げる中、その隙をついた劉邦が咸陽に迫ります。
咸陽が陥落するのも間近と見た小月は趙高の身を案じ、小川の陣に駆けつけます。
小川に、何とか趙高の命を救って欲しいと願う小月。
 
ところがその時、咸陽に入るためには通らなければならない函谷関を劉邦が固く守らせて閉ざしてしまっていました。
そのため、小川もそして項羽であっても、そう簡単には咸陽には近づくことができません。
 

そんな小川の陣に、龐将軍と田伍長が訪れます。
蒙毅が去った後、蒙家軍は趙高の手により解体され、ばらばらになっていました。
蒙毅の死の報に、一時、烏合の衆と化した蒙家軍でしたが、彼が生きていて、趙高を倒すために咸陽に迫っていると知った彼らは、小川に合流すべく、飛虎隊も含めやって来ていたのでした。
 
函谷関を攻めあぐねていた小川でしたが、飛虎隊がいるのなら勝算がある、と考えます。
 
咸陽にあと一歩のところまで迫っている劉邦ですが、なかなか咸陽を攻め落とすことができません。
苛立つ劉邦のもとに、函谷関が小川により落とされたという報が入ります。
急がなければ小川に先に咸陽に入られてしまうと焦る劉邦。
 

劉邦が咸陽に入れば、自分は終わりだと考えている趙高が、死に物狂いで咸陽を守ろうとするから、なかなか咸陽が落ちないのだと考えた劉邦。
呂雉を使者として趙高のもとに送り、もしも趙高が咸陽を差し出せば、命はとらないと趙高に伝えます。
にわかには信じられない趙高でしたが、「項羽と小川が先に咸陽に入った時、彼らがあなたを許すと思うか」との呂雉の言葉に、自分に残された道はそれしかないと覚悟を決めます。
 
こうして劉邦は咸陽を手に入れました。
 
 
僅かに遅れて咸陽に到着した小川。
小月は趙高と再会します。
 
すっかり関中王になったつもりの劉邦に憤りを感じる小川。
厳しい戦いに勝利し続けたのは項羽である、劉邦は大して何もしていない、というわけです。
 
敵を打ち負かすことについては項羽に叶うものはいない。
城を落とすことについては小川に叶うものはいない。
だが、人の心を掴み、戦わず、武力を使わずして勝つ、それが自分の勝利への道だ、と言う劉邦。
そんな劉邦に、決して項羽はこのまま引き下がりはしないはずだと言う小川ですが、劉邦はその言葉に耳を貸そうともしませんでした。
 

劉邦のもとを去ろうとする小川に呂雉が声をかけます。
たった1日到着が遅れたために、全てを失ったのだと言う呂雉に対し、自分は最初から項羽や劉邦と天下を争うつもりなどなかったと答える小川。
「なら、なぜ?」と訊ねられた小川は「ある人のため」だと答えます。
まだ小川への気持ちが残っている呂雉は、関中王妃として多くのものを手にした今の自分でも、それでも小川の心の中では彼女に及ばないのかと訊ねます。
 
その問いかけに対する小川の答えは
「玉漱は愛する者のためになら、宮殿での暮らしも皇妃の地位も、
 これ以上ないほどの権力さえも、全てを捨てることを厭わない。
 あなたにそれができるのか」
 
権力志向の強い呂雉の答えは勿論「絶対に諦めない」でした。
 
「だからあなたたちは最初からまるっきり比べ物にならないんだ。
 俺と玉漱の愛情は永遠に変わることはない。
 あなたが今手にしている全てものはあっという間に消えてしまうものだ。
 次の瞬間には、もうあなたの手からこぼれ落ちているかもしれない」
 
 
まさしくその時、項羽が40万の兵を率いて咸陽を奪い取ろうと迫っていると、劉邦に急を告げる使者が駆け込んできます。
戦いになれば、項羽に敵うはずのない劉邦。
 
 
小川はすっかり見る影もなく荒れ果てた蒙家に戻ってきます。
一方、項羽の手に落ちれば、命を失うことになるのは間違いない趙高は、小月を連れて逃げようとしますが、逃げるところなどありはしないと小月に言われてしまい、困り果ててしまいます。
 
蒙家の小川のもとを息子・劉盈を伴って呂雉が訪れます。
項羽が鴻門で宴席を設け、その宴に劉邦が招かれていると話します。
応じれば劉邦はお終いだろう、かといって応じなくてもやはり絶望だろうという呂雉。
項羽の兄弟分として、劉邦を助けてやって欲しいというんですね。
劉盈だけではなく、呂素の名前まで持ち出して、自分たち母子に力を貸して欲しいという呂雉に対し、鴻門宴そのものを止めることはできない代わりに、自分も劉邦に同行するという小川。
 
 
そしていよいよ歴史に名高い鴻門宴が開かれます。
項羽は劉邦をその場で殺してしまうつもりで呼びつけていました。
項庄に剣舞を舞わせ、その中で劉邦を殺害しようと図る項羽ですが、それに気づいた小川が剣舞の相手を務め、刃から劉邦を守ります。
そんな時、項羽のところに小月がやって来たことを知らせる手紙が届き、それを見た項羽は慌てて席を立っていってしまいました。
 
 
兄の趙高の身を案じた小月は、項羽に何も言わず出てきていたのでした。
心配していた項羽は彼女がやってきて大喜びです。
 
そんな項羽に、小月は無理なお願いがあるのだと言います。
 
「お前が2度と何も言わずに消えたりしないなら、どんな願いでも聞き届けてやるぞ」
「劉邦に手を出さないで」

「小月、他のことなら何でもきいてやる。
 だが、これだけはお前の願いを聞き届けることはできん。
 ……
 わたし、小川、そして劉邦は先に咸陽に入った者が関中王になるとの約束を交わした。
 わたしと小川は血みどろになりながら戦ってきた。
 劉邦は何もせず、じっと身を縮めておきながら、我々が秦軍と懸命に戦っているのを
 好機と咸陽に入り信義に背き函谷関を閉ざしおった。
 さもなくば咸陽に先に入る者は絶対に劉邦などではなかったはず。
 この怒り、どう抑えることができよう。あの下劣きわまりないろくでなしめ。
 何があっても、できるだけ早くけりをつけるつもりだ」
「小月が劉邦に手を出さないで欲しいと願うのは、
 彼を助けたいからではなく、兄を助けたいからなのです。
 小月が何も言わずに消えたのも兄のため。
 どれほど世界が広くても、今の兄には身を寄せるところもありません。
 誰もが彼を傷つけ、命を奪おうとしています。ただ劉邦だけが彼を傍に置いてくれた。
 もしも劉邦が死ねば、兄の命も長くないでしょう。
 項大哥……」
「小月、悪いがはっきり言わせてもらう。このわたしも趙高の命を狙う1人だ。」
「兄は確かに酷いことをたくさんしてきました。
 項大哥も恨み骨髄に達しておられることでしょう。
 でも、やっぱりあの人は兄。私にとってはこの世でたった1人の家族なのです。
 もしも兄が父親のように面倒をみてくれなかったら、今の小月はなかったでしょう。
 小月にとって、兄は項大哥にとっての項伯父と同じくらい大切な人なのです。」

「叔父はわたしにとって実の父ともいえる人だ。
 叔父が世を去った時、わたしは本当に辛かった。
 お前にそんな思いをさせることなど、どうしてできよう。
 いいだろう、お前のために、愛するお前のために約束しよう、劉邦は見逃してやる。
 だが、関中には置かん。遠い漢中に追いやってやる。」
「あなたにどう感謝したらいいのか……」
「わたしが教えてやろう。
 お前がわたしのもとを2度と離れさえしなければ、そばにずっといれば、
 それだけでいいのだ。
 前にも言ったな、お前はわたしの女だ。
 お前の笑顔を見ることが叶うなら、たとえこの世の全てを失ったとしても、
 何を気にかけることがあろう」
 
 
こうして、劉邦は助けられ、再びこの地に戻ってくることを誓いつつ、漢中に向かうことになりました。
 
 
そんな頃、小月が小川のもとにやってきます。
楚の王、すなわち「西楚霸王」となった項羽の王妃となった小月。
そんな彼女に、以前、預かっていた彼女の花嫁衣装を手渡す小川ですが、彼女が自分自身を「虞姬」と称したことに衝撃を受けます。
京劇でも有名な『霸王別姫』の主人公が霸王=項羽と虞姬(虞美人)ですから、小川にはこの時に小月の行く末が見えてしまったわけです。
 
表情を暗くする小川に小月は言います。
「将軍、項大哥と一緒にいられるだけで小月は心から満足なのです。
 玉漱と将軍がかつてそうだったように。」
「そうだな。1人きりで孤独な生涯を送るより、心から愛する人と共に短くも激しい
 そんな人生を生きるほうがいい。
 100年生きられたとしてもそれが何だというんだ。
 小月、お前の言う通りだ。虞姬として生きるのもいいな。
 お前と項大哥はその名を後世に残すことになるだろう。
 お前たちのことは誰もが敬い憧れる美談として伝えられることだろう。」
「小月は後世に名を残すことなど考えたこともありません。
 人が尊敬してくれるかどうかも私にはどうでもいいことです。
 王妃の身分などは、もっとどうでもいい。
 心にかけるのは、ただ大切な方のことだけですから。」
 
次にいつ会えるかわからない、そんな状況の中で、小川に別れを言いにきた小月。
そんな彼女の去り際に、「項大哥と共に過ごす時間をうんと大切に」と言わずにはいられない小川なのでした。
 
 
こうしてそれぞれが封じられた領土に去る中、小川は玉漱を救い出すために北岩山洞にやって来ます。
その小川の後をこっそりと追う呂雉。
 
玉漱が陵墓に閉じ込められてから、既に3年が過ぎていました。
小川は一心不乱に壁を壊し、山を掘り進み、かつて未完成のまま終わった抜け道を完成させようとしていました。
 
 
 
 
というあたりで、45話が終了。
 
 
とにかくこのあたりから、歴史上に名を残す出来事が次々と起き、一気にお話が動いていきます。
前半のペースと比べると、本当に驚くほどスピードアップした展開(笑)。
もうあと10話くらい使って、もう少し丁寧に描いて欲しかったと思う部分もあります。
 
あの人はどうなったの?と思う人も多いですし……。
史実では、秦が滅亡するまでの間に趙高は宰相の李斯を殺害、二世皇帝も殺害していたりしますが、ドラマではそのあたりがどうなったのかは描かれないままでしたね。
 
 
このドラマでは、蒙恬と項羽が特にご贔屓だったわけですが、その次に気に入っていたのは小川……ではなく、李由だった私(^^ゞ。
小月と過ごしたあの夜の李由の気持ちを考えると、こちらまで辛いというのか、何ともいえない気持ちになってしまって……。
この場面は、心に残るシーンのひとつです。
思いを寄せる相手にひたすらに無償の愛情を注ぐその姿は、小月とも重なるものがありました。
 
小月を助けるために躊躇いもせず素手で刀を掴み、そこまで彼女を追い詰めてしまった自分を責めていた李由。
李由と小月との婚礼の場面も、私にとって、とても印象深いシーンのひとつでした。
小月が李由の手に巻いてあげたハンカチのような布。
李由はきっとずっと肌身離さず持ち続けていたんですね。

 
そしてそれが李由の手から小川の手へと託され 

 
小川から小月へと……。 

 

 
 
李由は、あの蒙恬に薫陶を受け、蒙恬が心から信頼していた人に相応しく、最後の最後まで立派すぎるくらい立派な男でしたので、彼の最期には本当に胸が痛みました。
小川もどれほど辛かったことか……。
でも、その最期は李由らしく、とても清々しいものでした。
自害する前に、愛おしむように周囲を見渡したその表情に、李由の生き様が現れているようでした。
 

そして蒙恬と並び、私が最も心引かれた項羽 ^^ 。
向かうところ敵なしのその強さと剛胆さ、そして小月に対する一途な想いがとても魅力的で(笑)。
小月から小川のことが好きなのだと言われても、それでもへこたれないし(笑)。
小川に嫉妬もしない、でも諦める気もない、そういうところも項羽らしい気がします。
何度か、項羽が口にした「你是我的女人」という台詞が実に彼らしいというか、このドラマの項羽にはぴったりの台詞でしたね。
この項羽なら、彼女を悲しませないためだけに、劉邦を見逃したというのも充分に納得できました。
 
 
一方の劉邦。
このあたりから、どんどん嫌な奴度が増してきまして……。
項羽じゃなくても、腹が立ちますよ。
確かに戦わずして勝つことができれば、それが一番なのかもしれませんが。
目的のためには手段も選ばないあたり、お似合いの夫婦といえばそうなんでしょうね。
多分、呂雉ほどには人は悪くないんだと思いますが、「仁義」だの何だのというのが、ただ人を上手く使うための方便にしか聞こえなくて……。
 
 
最後に、肝心の主役ですが、このあたりからはまたすっかり「玉漱、玉漱」だったので、ちょっとなぁ……と(^^ゞ。
玉漱の言葉を伝えてくれなかった小月に腹を立てる場面では、「身勝手なのはあなただよ」と私もそんなことを思ってしまいました。
玉漱も相当、身勝手ですけどね。
 
秦への反乱についても、李由に話していたのも理由のひとつだったかもしれませんが、やっぱり一番大きな理由は玉漱でしょ……と思ってしまったり。
蒙恬ならきっと、李由のように、たとえ変わってしまった祖国でも、それでも国のために命懸けで戦っただろうなと思いますし……。
かつて蒙毅として蒙家軍を率い、外敵と戦ってきた小川ですから、せめてもう少し葛藤して欲しかったというのが本音です。
 
同じ一途な愛でも、項羽の一途さの方が好きなのは、玉漱より小月が好きなのも関係しているのかな……。

『神話』41〜45話」への2件のフィードバック

  1. こんばんは!

    >前半のペースと比べると、本当に驚くほどスピードアップした展開(笑)。
    >もうあと10話くらい使って、もう少し丁寧に描いて欲しかったと思う部分もあります。

    かなりスピードアップしましたよね?(笑)
    前半と後半の展開の速さを反対にして欲しかったです(^^ゞ
    最後の方は特に・・・

    そしてこの頃の劉邦夫婦はもう、最低コンビ(笑)になってますよね・・・
    そして、懲りずに何度もこの二人にひどい仕打ちを受ける小川に、「もう少し学習して!」と、なんどつぶやいたことか・・・(笑)
    学習して警戒してしまったら、お話が進まないのですが・・・

    >最後に、肝心の主役ですが、このあたりからはまたすっかり「玉漱、玉漱」>だったので、ちょっとなぁ……と(^^ゞ。

    そうなんですよね・・・
    この頃の主役の態度には私も「・・・」でした~(汗)
    玉漱自体の魅力&高感度もかなり低い状態で、どうしてそんなに執着しなければならないのかなぁ?とブツブツつぶやきたくなるのをぐっと堪えてました(笑)。
    小月は逆にどんどん魅力高感度共にアップしていき、幸せになってほしかったのですが・・・。
    私の中では、玉漱は最後の最後まで高感度が上がらなかったです~。汗
    なぜでしょう?役柄だけの問題ではない気もしますが・・・(笑)

    そして、話題が違いますが・・・
    『偷心大聖PS男』も面白そうですね!
    観たいと思っているのですがなかなか観れずにおります・・・
    早く観たいです~

    • ちろさん、こんばんは!

      後半の物語の進みっぷりは驚くほどですよね(^^ゞ。
      いろいろなことがばたばたと起こって、ついていくのが結構大変だったりしました。
      もっと丁寧に描いて欲しかったエピソードもたくさんありましたよね。
       

      >そしてこの頃の劉邦夫婦はもう、最低コンビ(笑)になってますよね・・・
      確かに……。
      呂雉は、歴史上のあの呂后を思えば、まだ可愛い方だとは思うんですけど。
      というか、実は呂雉はなぜかそれほど憎めなかったんですよね。
      でも、その分、劉邦がもう嫌で嫌で(^^ゞ。

      小川にしても、同じ義兄弟だとは言え、項羽は好き、劉邦は……でしたよね(^^)。
      小川に政治的な野心が無い分、結局のところ、この2人に良いように利用されただけだったような気がします。
      項羽の描かれ方が非常に良かっただけに、一層、劉邦が嫌な人になってしまった部分もあったのでしょうね。
      この2人の描かれ方を見ながら、中国にも “判官贔屓” ってやっぱりあるのかな?なんて思ったりしました。

      そして、主役……
      >この頃の主役の態度には私も「・・・」でした~(汗)
      やっぱりですか?
      小川自身は魅力的なのですが、結局最後まで、彼が玉漱にあれほど執着する理由が納得いかないというか、理解できなかったです。
      圖安時代は生き生きしていて魅力もあったのですが、後半、ほとんど魅力を感じることが無かったですね。
      愛情の部分については、小川と玉漱は2人とも、実に身勝手な人に思えてなりませんでした。
      小月は項羽と李由という2人の魅力的な男性にあれほどに思われるのも納得でしたよね。
      私も彼女には是非幸せになって欲しかったです。
      高嵐も好きだったので、こちらは大川と幸せになってくれてホッとしました。
      でも、同じ顔だけに、草葉の陰で項羽が泣いているかもしれませんね(笑)。

      >私の中では、玉漱は最後の最後まで高感度が上がらなかったです~。汗
      >なぜでしょう?役柄だけの問題ではない気もしますが・・・(笑)
      実は、私も……(^^ゞ。
      『苦咖啡』が少し心配になっていたりして。
      でも、項羽を演じた潭凱と胡歌が兄弟を演じると言われれば、やっぱり期待してしまうんですけど。
       

      >『偷心大聖PS男』も面白そうですね!
      なかなか面白いです。
      『神話』とは全然違って、あまりいろいろ考えず、気軽に楽しめて良いですね。
      私の場合、キャストも好きな人ばかりなので、一層楽しく感じられるのかもしれません。
      お時間が許せば、是非!
       

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