『渺渺』

DVD カバー關錦鵬(スタンリー・クワン)がプロデュース、台湾の程孝澤監督の初めての長編映画『渺渺』。
 
范植偉が出ているのだけは知っていましたが、特に見ようとは思わなかったのに、突然 見る気満々になったのは、吳慷仁の存在があったから(笑)。
 
『下一站、幸福』は、これまでよく知っていたVanNessや安以軒の新たな魅力に気づかせてくれる作品であるのと同時に、吳慷仁というこれからが楽しみな俳優さんと出会わせてくれた作品でもあります。
 
MVではそれほど印象に残りはしなかったのですが、『沿海岸線徵友』が思った以上に印象的でしたので、『渺渺』もかなり期待して見ました(笑)。
 
 
<あらすじ>
元気が良くて快活でケーキが大好きな高校生・小璦(張榕容)は、ある日、クラスにやって来た日本からの交換留学生・渺渺(柯佳嬿)と出会います。
快活で外向的な小璦に対して、渺渺は内向的で周囲との間に壁を作ってしまいそうなタイプなのですが、小璦はそんなことも気にせず、あっという間に彼女と親しくなってしまいます。
 
渺渺は、認知症に罹り 17歳の時の思い出の中で生きている祖母の初恋の場所であるケーキ屋さんを探すのですが、そこは中古CD店になっていました。
その店の店主である陳飛(范植偉)と出会った渺渺は、いつもヘッドフォンをつけ、人との接触を拒むような彼に興味を持ち、徐々に魅かれていきます。
小璦は渺渺が陳飛に魅かれているのを知って協力するのですが、少しずつその渺渺の様子に複雑な思いを抱くようになります。
小璦はケーキ作りが上手くて温かい手をした渺渺に魅かれていくんですね。
小璦は渺渺に、渺渺は陳飛に、それぞれが一方通行の思いを寄せます。
 
そして渺渺に思われている陳飛はというと、彼は過去にとらわれ、身動きが取れなくなっていました。
店を畳み、去ることを決意した陳飛。
失恋した渺渺は小璦のところで涙し、そんな渺渺の姿に小璦も涙します。
小璦は渺渺のために陳飛のところに乗り込みますが、そこで陳飛から彼がとらわれている過去についての思い出を聞かされます。
 
交換留学の期間が終わり、日本に帰る渺渺を見送りに来た小璦に渺渺はケーキを渡すのですが、空港からのバスの中でそのケーキを見てみると、そこには重なり合った2人の手が描かれていました。
それを見た渺渺はバスを降り、空港に走ります。
そして初めて、ずっと言えずに胸の奥にしまっておいた自分の気持ちを思いっきり叫ぶのでした。
 


 
 

<感想>
見終わって思ったのは、とにかく気持ちいい映画だということ。
切なくてほろ苦くもあり、でも爽やかで清々しいというのか心地良いというのか……。
とにかく素敵な作品でした。
映像もとても美しくて、また切なくて、音楽も非常に印象的に用いられていて、映像にも合っていましたし、とにかく上質な作品なのは間違いないと思います。
台湾の監督さんの映画には、こういう心地良い作品が多い気がするのは気のせいでしょうか。
 
 
お話は渺渺と小璦、渺渺と陳飛、そして陳飛と小貝(吳慷仁)の思いが重なり合うように進んでいきます。
 
とにかく小璦がいい(笑)。
元気で明るくて、悩みなんてなさそうに見えて、実は父親に対して複雑な思いを抱えていたりもするのですが、何事にも真っ直ぐでとても可愛い女の子。
 
渺渺も、17歳に戻ってしまったおばあちゃんの世界の中で、おばあちゃんの友達として接してあげる優しさを持っていて、温かい手と同じように温かい心を持っていることがわかる、そんな女の子でした。
この作品は、この2人を中心とした青春映画ですし、この2人の存在感と彼女たちの持つ魅力こそが この映画の魅力そのものだったと思います。
 
 
そして陳飛。
かつて靛青色樂團というバンドを組んでいた彼は、そこで小貝と出会います。
小貝は真っ直ぐに彼を見、彼を愛しますが、その告白に対して陳飛は曖昧な態度しか取れません。
小貝が彼らの元を去ることになった時にさえ、「俺のことを愛してるのか、愛してないのか、言えよ!」と叫ぶように訴える小貝に、「こうやって毎日一緒にいる、それだけじゃダメなのか?」としか言えませんでした。
 
小貝と陳飛の部分については、「星の王子さま」が2人の関係にオーバーラップされています。
陳飛は、小貝のためにデモCDを製作するのですが、「星の王子さま」の最後で飛行士の元を去る王子が、飛行士が寂しくないように、満天の星空からの鈴のような笑い声を送ったように、小貝は彼に「あのデモを俺の声として大事に持っててくれるか?」と涙ながらに訴えていました。
しかし、その小貝は突然の事故で亡くなってしまいます。
自分のせいで小貝を死なせてしまったという自責の念に駆られた陳飛は、そのデモを自分のパソコンから削除してしまい、今になって、その時に作ったCDを必死に探し求めているのです。
小璦に対して、彼ははっきりと「我是他的男朋友兼唱片製作人」だと告げるのですが、小貝の気持ちを考えると、これは遅すぎると思うヒトコトでした。
あれほど小貝は陳飛の自分への気持ちを、その本当の気持ちを知りたがっていたのに。
 
小璦から陳飛と小貝とのことを聞いた渺渺は、一生懸命にそのデモを探し出し、それを眠っている陳飛のポケットにそっと忍ばせていきますが、これで小貝の “声” がこれから先の陳飛の人生に静かに寄り添っていくのでしょうね。
陳飛も、過去にとらわれるのではなく、未来に向けて一歩踏み出したような、そんな気がします。
 
 
吳慷仁が演じる小貝は、登場シーンこそ それほど多くないものの、その表情や台詞がとても印象的で、陳飛がいまだにその死から立ち直れずにいることに こちらが共感できるだけの人物像を描き出せていたと思います。
やっぱり魅力的な役者さんですね、彼は。
これから先、吳慷仁が出ているというだけで、きっとその作品を見たくなってしまうんだろうな(笑)。
事務所の情報によると、2010年もドラマ出演の予定が入っているようですし、ますますの活躍を期待しています。
 
 
それから、同じように登場シーンは多くないものの、とても強い印象を残したのが小璦のお父さんを演じた屈中恆。
小璦との親子関係はぎくしゃくしているものの、小璦を心から愛しているのがよく伝わってきました。
娘との距離を埋めるための実に不器用な働きかけが、却って娘への深い愛情を感じさせた気がします。
小璦が可愛くて良いお嬢さんなのは、この父親があるからこそでしょうね。
最後の最後で、渺渺の言葉もあって、ようやく小璦が父親との間に築き上げた壁を打ち破ろうとする様子が見えたのが嬉しかったです。
 
 
84分という小品ではありますが、見る価値ありの1本でした。
その短さゆえか、やや説明不足の部分も感じられはしましたが、そういう部分があっても、それでもこの映画が魅力的な作品であることには変わりないと思います。
吳慷仁のおかげで(笑)、素敵な映画に出会えました。
彼に感謝です。 
 
 
公式blog
請大家要支持渺渺喔!! :: 痞客邦 PIXNET ::
 http://miao.pixnet.net/blog
 
 
YouTube – 渺渺_Miao Miao_台北電影節8分鐘預告
 http://www.youtube.com/watch?v=cc_2qFFI_dw&feature=related&fmt=18
 
 
 
映画の中ではバンドのデモ曲として用いられていました「Get together」。
これを歌っているのは私のお気に入りの歌手の1人、張智霖。
映画にぴったりの良い曲です。
(今月リリースされた彼のベストアルバム「I Am Chilam」に収録されています。)
 
YouTube – Get Together 張智霖
 http://www.youtube.com/watch?v=XTPJJey82SA&fmt=34
 

 

小璦と渺渺

小璦と渺渺

 
小璦と渺渺

小璦と渺渺


 
小貝

小貝

 
小璦と渺渺

小璦と渺渺


 
陳飛と渺渺

陳飛と渺渺

 
小璦

小璦


 

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